加齢によってお悩みが深くなっていく「しわ」。シワ改善化粧品などで入念にケアしている人も多いはず。原因やセルフケアに関するさまざまな情報がありますが、一部誤解もあるという驚きの事実が判明しました…!ここでは形成外科医の監修の元、正しい原因や対策まで解説します。
監修:當山 拓也先生(当山美容形成外科 院長)
See our new privacy terms at https://privacy.abbvie/.
加齢によってお悩みが深くなっていく「しわ」。シワ改善化粧品などで入念にケアしている人も多いはず。原因やセルフケアに関するさまざまな情報がありますが、一部誤解もあるという驚きの事実が判明しました…!ここでは形成外科医の監修の元、正しい原因や対策まで解説します。
監修:當山 拓也先生(当山美容形成外科 院長)
目次
30~40代頃からしわが気になり始める人が多くいることでしょう。特に皮膚の薄い人が目立ちやすい傾向にありますが、しわは皮膚の表面だけで起きているのではありません。身体の外側と内側それぞれに原因があります。
しわの初期症状の原因は乾燥です。「小じわ」「ちりめんじわ」ともいわれる細かいしわは、気温や湿度が低い環境による乾燥で肌表面の水分が失われ、肌のキメが乱れることで現れます。
紫外線は皮膚(真皮)にあるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を変性させ、これら肌のハリを保つ成分を産生する線維芽細胞も損傷させてしまいます。この現象を「光老化」と呼び、結果、皮膚が厚くゴワゴワになり、深く直線的なしわが現れてしまうのです。
また紫外線は間接的に乾燥も招くので注意しましょう。紫外線によるダメージで表皮のターンオーバー(生まれ変わり)が乱れ、うるおいを守るバリア機能が低下してしまうため、乾燥が引き起こされてしまいます。
私たちの顔は骨・筋肉・皮下脂肪(皮下組織)・真皮(皮膚)・表皮(皮膚)の5つの層から成り立っており、以下の層で加齢による変化が起き、しわが刻み込まれる要因となります。
顔の骨は「土台」として筋肉や皮下脂肪・皮膚(真皮・表皮)を支えていますが、加齢によって、体だけでなく顔も骨密度が減り、小さくなります。具体的に説明すると、こめかみや眼窩(がんか:眼球が入っているくぼみ)のまわりは広がり、頬・あごのまわりの骨はへこみ、やせこけます。顔の骨が衰えてしまうことで各層を十分に支えられず、重力によって垂れ下がり、しわやたるみを引き起こすのです。
額・こめかみ・目の下・頬は皮下脂肪が元の位置から下に移動(下垂)しやすい部位です。なかでも頬の皮下脂肪は元々あった場所から下に移動(下垂)し、皮下脂肪の量が減ることにより、しわの溝が深くなってしまいます。
加齢はもちろん、先ほど述べた紫外線ダメージが長年蓄積することで真皮(皮膚)の変化が起こります。 加齢で真皮に影響を及ぼすのが、女性ホルモンの「エストロゲン」です。このホルモンは肌の弾力性を保つコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸生成に関っていますが、40代以降急激に分泌が減少してしまいます。さらに、これらを産生する線維芽細胞も損傷または機能低下が起こり、肌のハリがなくなってしまうのです。
日常的に表情筋の収縮をさせる表情グセは、しわが刻み込まれやすい原因となります。以下は具体的な例ですが、心あたりのある人は注意しましょう。
実はしわと言っても種類があり、特徴が異なります。代表的な4種類をご紹介しましょう。
肌表面の乾燥によって表皮に現れます。しわの中でも比較的初期の状態です。別名「ちりめんじわ」とも呼ばれます。
加齢や紫外線のダメージによって、真皮に存在するコラーゲンやエラスチンなどの弾力線維が皮膚の重力を支えきれなくなることで生じます。
表情じわは、笑う・怒るなど表情を表す際にできるしわのことを指します。表情筋の収縮によって、眉間や目尻、口の横、額などに現れます。本来、表情じわは一時的なものですが、繰り返し筋肉を動かし続け、加齢とともに皮膚のハリや弾力が低下すると、消えにくくなり、“刻みじわ”へと変化してしまうのです。
おでこの筋肉は、目の筋肉ともつながっており、自然と動きやすく、力も入りやすいため、しわが生じやすい部位です。メイクで隠そうとしても、くぼみにファンデーションが詰まって余計に目立ちやすい傾向にあります。また疲れた印象を与えてしまいがちです。
表情ぐせでしわが生じやすく、悩む人が多い部位の一つです。老けた印象だけでなく、不機嫌な印象や人相が悪く見えてしまうなど、印象面で損をしてしまいがちなデメリットがあります。
笑った時などにできるしわで「笑いじわ」とも呼ばれます。もともと目の周りの皮膚は薄く、さらに皮膚や筋肉の衰えによって、笑った後、表情を戻しても、しわが残ったままになってしまいます。年齢を感じさせやすい部位です。
口を閉じたときに筋肉が緊張して、下顎の先にしわができることがあります。歯を食いしばるくせがある人にも現れやすい傾向です。俗に「梅干しじわ」とも呼ばれます。
文字通り、肌のたるみ(下垂)によって生じます。肌内部の形状が崩れた結果、影ができ、しわのように見える境界線・溝です。以下が代表的なたるみじわですが、現れると一気に老けた印象に。
鼻の横から上唇に「ハ」の字に現れるラインで、しわの中で1番多くの人が悩んでいるのがほうれい線です。医学用語では「鼻唇溝(びしんこう)」と呼ばれます。
医学的用語ではなく、マンガの主人公からちなんだ名称で、目頭の下から頬にかけて斜めに伸びるラインです。
同じく医学的用語ではなく、マリオネット人形の口元と似ていることから呼ばれている名称です。口角からあごに向かって下へ伸びる、たるみを感じさせるラインを指します
ニールワン・レチノール・ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)が配合された「しわ改善化粧品 」が普及し、スキンケアによるしわ改善の効果が期待できるようになりました。しかし、全てのしわを改善できる訳ではありません。小じわには有効ですが、表情筋の収縮によって現れる表情じわや、骨・皮下脂肪・支持靭帯などの影響を受けて生じるたるみじわの根本的な改善は難しいでしょう。
とはいえ、小じわを招く乾燥をはじめ、大じわなどの原因となる肌のハリ・弾力の低下を防ぐために、スキンケアは重要です。
ケアする際、手やコットンで叩き込んだり、こすることは絶対に避け、優しく丁寧に行ってください。また高機能な化粧品だからと、量を控えたりせず、たっぷり使用しましょう。
小じわや大じわなどに影響を及ぼす「光老化」を引き起こし、さらに間接的に乾燥を招く紫外線。根本的なしわ改善にはつながらないものの、しわ防止・悪化を防ぐためにしっかりと対策してください。
基本のケアはやはり日焼け止め ですが、塗り直す時間や使用量、塗る順番など正しく使えているか見直してみましょう。また、日焼け止めだけでは紫外線を100%防ぐことはできないので、以下のような工夫も大切です。
残念ながら、しわ改善のためにマッサージを行うのはおすすめできません。医学的に改善する根拠がなく、さらに肌をこすったり、摩擦を起こしやすいため、肌にダメージを与えるリスクがあるためです。顔のむくみを取り除く、リンパの流れをよくするためにマッサージを行う際はやりすぎないよう注意してください。
しわの直接的な改善にはつながりませんが、肌の健康を保つ上で生活習慣は大切です。具体的には以下のポイントを押さえておきましょう。
眠りは肌とも密接な関わりをもっています。睡眠時に分泌される成長ホルモンによって、表皮のターンオーバーが促されます。睡眠不足や眠りの質が下がると、ターンオーバーは乱れ、表皮のバリア機能の低下などを招きます。結果、小じわが生じやすくなってしまうのです。
美肌に役立つ代表的な栄養素としては、肌や筋肉をつくるタンパク質と、肌をダメージと老化から守る抗酸化ビタミン(ビタミンA・E・C)があります。意識的に摂取したいものの、これらの栄養素のみを摂ればよいという訳ではありません。プロテインなどの栄養補助食品も活用しつつ、栄養バランスを大切にしましょう。
長期間にわたる喫煙は、しわなどの肌の老化に影響を及ぼします。ある調査では、非喫煙者と喫煙者を比べると喫煙者はしわのある人が多いという報告があります。要因として、卵巣機能(女性ホルモン)への悪影響、体の末梢への酸素供給の減少,ビタミンCの分解を促すなどが引き起こされるためです。受動喫煙でもリスクがあるので、注意しましょう。
笑うなどの表情をつくることは制限をかけず、自然に過ごしましょう。
しかし、原因で挙げたような表情グセ(一生懸命見ようと眉をひそめたり、目を細める)は必要ありません。なるべくこれらのクセを起こさないよう意識・見直しを行うことは表情筋の収縮が起きる頻度・機会を減らすことができ、有効といえるでしょう。
しわ対策においてセルフケアは必要であるものの、改善できるしわの種類は限定されていることがわかりました。またセルフケアは日々の積み重ねが必要、かつハッキリとした効果は感じにくいかもしれません。
短期間で改善したい、または自力では対処が難しい肌の奥にアプローチが必要であれば、美容医療を選択肢に入れてみましょう。肌の状態や希望に応じて、さまざまな施術・治療法
を選択でき、改善が期待できます。しわの種類別に代表的な施術・治療法をご紹介しましょう。
※国内未承認治療を含みます
トレチノイン はビタミンAの一種で、しわをはじめ、ニキビやシミの治療医薬品として用いられています。肌のターンオーバー促進やコラーゲン生成作用でしわを改善する効果が期待できる、医療機関でのみ扱える医薬品です。 ケミカルピーリングは、肌の表面に残っている古い角質を酸の力で取り除き、乱れたターンオーバーを正常な周期に戻すための施術です。肌への負担が少なく、トレチノイン同様しわだけでなく、ニキビやシミなどの治療にも用いられています。
真皮層の変化・衰えによって生じる大じわ。ベーシックな施術はヒアルロン酸注射 です。うるおいや皮膚の弾力性を保つヒアルロン酸を直接注入することで、しわ改善の効果を期待できます。さらに、施術後から回復までにかかる期間(ダウンタイム)が比較的短く、施術を受けたその日から効果を実感しやすい点も魅力です。 もう一つの代表的な治療法はレーザーで、光エネルギーを熱に変換し、コラーゲンやエラスチン産生の活性化を狙います。
ボツリヌス注射 はダウンタイムがほとんどない、表情じわのポピュラーな治療法です。筋弛緩作用をもつ「ボツリヌストキシン」という成分を表情筋に注入し、筋肉の緊張をゆるめ、リラックスした状態にすることでしわ改善の効果が期待できます。
たるみじわは骨や靭帯、皮下脂肪などの変化によって生じるため、改善には以下のような複数の施術を組み合わせて治療するケースが多く見られます。
しわが気になり始めたら、多くの人がまずセルフケアから始めているでしょう。しかし、これまでの説明の通り、しわの種類によって原因も必要な対策も異なるため、医師に相談することが改善への近道です。早期に治療を開始すれば、費用も抑えられます。
頼りになるクリニックを探すポイント としては、医師自らがカウンセリングを行っているかをチェックしてみましょう。また、施術後に後悔・ギャップが起きないよう、医師への相談・カウンセリングを重ねられるかも大切です。
参考文献
東京医科大学卒業後、東京大学医学部形成外科学教室入局。東京警察病院、杏林大学形成外科等で研鑽を積む。リッツ美容外科・東京院、東京西徳洲会病院医長、アヴェニュー表参道クリニック副院長を経て、2016年から当山美容形成外科副院長を務め、翌年より院長に就任。
親子3代にわたって、地域密着の診療を続け、2022年で開業70周年を迎える。
当山美容形成外科
住所:〒900-0015 沖縄県那覇市久茂地2丁目11−18当山久茂地川医邸4・5階