二の腕痩せをしたいと考えてはいるものの、食事や運動に気を付けてみてもなかなか細くならないと感じている方は多いでしょう。

二の腕の太さが気になってしまうと、夏場にノースリーブが着られなかったり、タイトなデザインの服を着たときに二の腕がパンパンでうまく着こなせないといった悩みにつながります。

今回は、二の腕が太く見える原因や、二の腕痩せの効果的な方法について、湘南美容クリニックの御園生佳奈子(みそのう かなこ)先生にお話をうかがいました。

監修:御園生 佳奈子 先生(湘南美容皮フ科内科クリニック 六本木院 院長)

二の腕痩せのポイント

  • 二の腕が太い原因は脂肪・筋肉・たるみ・姿勢の悪さなど複数の要素がある。人によって複数の要素が絡み合っていることもある。
  • 二の腕痩せの方法で食事改善・運動・マッサージは役立つものの、日々の積み重ねが必要。また、二の腕だけを引き締める部分痩せはできない。
  • リバウンドが起こる理由は脂肪細胞の影響。ダイエットで脂肪細胞を小さくできても、脂肪細胞そのものを減らすことはできない。
  • 二の腕の部分痩せがしたいなら、ピンポイントで脂肪細胞を減らせる美容医療を検討しよう!

二の腕が太く見える原因

二の腕が太くなる原因には、脂肪の蓄積や筋肉の肥大、皮膚のたるみなど複数の要素があります。

二の腕が太くなる原因はひとつとは限りません。複数の要素が絡み合って、二の腕が太く見えている可能性もあります。

そのため、二の腕痩せを実現させるには、自分がどの原因によって二の腕が太くなっているのか判断するのが大切です。

脂肪・セルライトの蓄積

二の腕が痩せずに太く見えてしまうのは、二の腕に蓄積する皮下脂肪やセルライトの影響もあります。

特に女性の場合、卵巣から分泌される「エストロゲン」という女性ホルモンの影響もあって皮下脂肪がつきやすいのが特徴です。エストロゲンは月経のリズムを作ったり、肌のつやを良くしたり、皮下脂肪を蓄積しています。

また、セルライトとは、脂肪と老廃物が複雑に絡み合ってできるもので、リンパの流れが悪く血流が滞った状態のことです。運動習慣がなかったり、冷え性や塩分の取りすぎでむくみがちだったりする人は、リンパの流れが悪くなりやすく、セルライトが出来やすい傾向にあります。

そのため、食べ過ぎや運動不足によって摂取エネルギー量が消費エネルギー量を上回ると、余ったエネルギーが脂肪として二の腕をはじめとする全身に蓄積されます。

筋肉がつき過ぎている

二の腕が太く見えるのは、筋肉がつき過ぎているのも原因の一つです。

二の腕の前側である上腕二頭筋側の筋肉がつき、ぷっくりした力こぶのある人は、腕が太くがっしりしているので、腕全体が太い印象を与えてしまうことがあります。

普段から重いものを持ち上げて運ぶ仕事をしている人や、過去の運動によって腕を鍛えていた人などは、上半身全体が日常的に鍛えられて発達するので、根本的に腕の体積が大きくなって太く見える傾向にあります。

皮膚のたるみ

二の腕が太く見える要因として挙げられるのが、皮膚のたるみです。

皮膚のたるみは、主に加齢によって生じます。腕に脂肪がついて体積そのものが増えているわけではなく、皮膚が伸びている状態です。しかし、脂肪が過剰に蓄積された場合も皮膚が伸びるため、後にたるみにつながることがあります
腕を横に広げた際、いわゆる「振袖」の部分の皮膚がたるんでいると、太く見えてしまいます。

姿勢の悪さ

二の腕が太くなってしまうのは、姿勢の悪さも一つの原因です。

猫背などの背中が丸く曲がった状態は、肩甲骨が外側に開き、肩は内側へ向くため、肩回りや腕の筋肉が正しく使われなくなるので、二の腕や背中、肩回りに脂肪が蓄積しやすくなります。

また、姿勢が悪いと、脇の下に集中しているリンパの流れが悪くなり、むくみの原因となります。そこに脂肪が蓄積されると、さらにリンパの流れが悪くなるので、むくみと脂肪の悪循環が形成され、セルライトが形成されるのです。

二の腕痩せに役立つ、筋トレやエクササイズ

二の腕痩せを目指す場合には、筋トレやエクササイズで二の腕の裏側の筋肉である上腕三頭筋を鍛えることがポイントです。

二の腕の筋肉は、主に前側の上腕二頭筋と、裏側の上腕三頭筋で構成されていますが、上腕二頭筋を鍛えると、かえってがっしりした印象を与えてしまうので注意しましょう。上腕二頭筋は日常生活で物を持ち上げるのによく使う筋肉なので、筋トレをする必要はほぼないといえます。

また、肩の筋肉である三角筋を鍛えるのも二の腕痩せに有効です。適度に鍛えられた三角筋は、メリハリのある綺麗な腕のラインが作れます。

さらに、筋トレを行う際に注意したいのが運動強度です。筋トレの際に重すぎるダンベルを使ってしまうと、本来鍛えるべきではない肩や首の筋肉を使ってしまい、首が太く短くなって顔が大きく見えたり、肩が張ってがっしり見えたりします。そのため、正しいフォームがキープできる、自分に合った重量のダンベルを使うことがおすすめです。

おすすめの筋力トレーニング

具体的な筋力トレーニングをご紹介しましょう。二の腕の引き締めも期待できます。

上腕三頭筋と三角筋を同時に鍛える「リバース・プッシュアップ」
リバース・プッシュアップは寝ながら、比較的軽い負荷で行える筋トレです。
肘が外側に開かないようにしながら、脇を締めた状態で上体を沈めていきます。

上腕三頭筋をダイレクトに鍛える「フレンチプレス」
フレンチプレスは、ダンベルなどを使ったトレーニングです。

肘を伸ばして、頭の上でダンベルを持ち、ゆっくり肘を曲げてダンベルを頭の後ろに持っていきます。そこから上腕三頭筋を使ってダンベルを再び頭の上に持ち上げましょう。
肩や肘をなるべく動かさないようにすることがポイントです。

フレンチプレスは、ダンベルだけでなく、ペットボトルでも行うことができます。さらに、座ったままトレーニングができるので、家で手軽に筋トレをしたいという方に向いています。

マッサージやストレッチで血行を促進させる

二の腕痩せの方法として、手軽に取り組めるのがマッサージやストレッチです。

マッサージは、血流をよくして老廃物を流したり、筋肉をほぐしたりする点においては有効ですが、マッサージを行うことで二の腕の脂肪を直接減らす効果があるわけではありません。

また、ストレッチも、ストレッチ運動直後に血流量が増加することによって、リンパの流れを整わせてむくみを解消するとされていますが、ストレッチも直接的に二の腕の脂肪を減らせるわけではありません。

マッサージやストレッチは、あくまでサポートとして考え、自分に合った負荷の運動と併用して利用するのが良いでしょう。

有酸素運動で消費エネルギー量を増やす

二の腕痩せを実現させるために、ウォーキングなどの有酸素運動は有効といえます。

有酸素運動は全身の脂肪を燃焼させやすくするためのダイエットの基本です。体の脂肪を減らして全体を細くすることは、二の腕痩せにも効果があります。

有酸素運動は20分以上の継続が理想とされていますが、5分、10分といった短い時間でもその分のエネルギーは消費されているので、短時間の運動も有効です。

有酸素運動は継続して習慣化することが大事なので、あまりハードルを上げ過ぎないことも大切といえます。具体的な運動は個人差があるものの、目安としては、「ちょっとキツい」と感じる程度の運動負荷がいいでしょう。

具体的には、最大心拍数の40〜60%程度の心拍数になるように有酸素運動をするのが脂肪を燃焼させるには効率的と言われています。

以下の計算式で、脂肪燃焼に効果的な強度を把握することができます。

  • (220-年齢)=最大心拍数として計算し、
    (最大心拍数-安静時心拍数)×40%~60%+安静時心拍数

例えば、年齢が30歳で安静時心拍数が75だとして計算すると、121〜147/分の強度が脂肪燃焼しやすいことになります。

  • (220-30)=最大心拍数は190
    (190-75)×0.4〜0.6+75=121〜147

現在はスマートウォッチなどで心拍数が測れるものも多いので、うまく利用して活かしてみると良いのではないでしょうか。
注意点としては、消費エネルギーが増えることで全身の脂肪細胞は小さくなり、痩せて見えるものの、特定の部位の脂肪細胞を小さくすることはできないということです。

そのため、運動をやめてしまい、消費エネルギーが摂取カロリーより少なくなってしまうと、脂肪細胞は大きくなり、リバウンドにつながってしまいます。

二の腕痩せに食生活の改善・工夫は必要?

二の腕痩せには食生活の改善・工夫も大切です。

食事制限によって、摂取エネルギー量を消費エネルギー量より減らせれば、二の腕をはじめとする全身のダイエットにつながります。

しかし、摂取エネルギー量を減らしすぎて必要な栄養が充足できていないと、肌荒れを引き起こしたり、免疫機能が落ちたりして、かえって不健康になってしまいます。あくまで、過剰なエネルギーを減らすように心がけましょう。

食事はゆっくりと味わって食べる

食事をする際はゆっくりと時間をかけることが大切です。

ゆっくり食事をとると、早食いの人に比べて満腹中枢が刺激され、少ない食事でも満足感が得られるというメリットがあります。

食事に時間をかけると、少ない食事量でも満足感を感じやすく、摂取カロリーを減らせます。

噛む回数を増やすのも大切

食事によってダイエットを成功させるには、たくさん噛むことが大切です。

咀嚼回数が増えると、DIT(食事誘導性熱産生)が高まり、食後のエネルギー消費量が増加します。

DITとは、食事中の栄養が分解される際に、安静にしていても代謝が良くなる仕組みのことで、食事中に体が暑くなったり汗をかいたりする現象を指します。

そのため、満腹中枢が刺激される20分くらいを目安に、咀嚼回数を増やしてDITを高める食事を心がけるといいでしょう。

高タンパク質・低糖質の食事を心がける

二の腕痩せをはじめとするダイエットには、高タンパク質かつ低糖質の食事も効果的です。

お肉や卵、お魚などのタンパク質は、ごはんやラーメンなどの炭水化物と比較し、DITが高いとされています。

糖質や脂質がDITで消費されるエネルギーは数%ですが、タンパク質の場合は30%と高いため、同じカロリーを摂取したとしても、タンパク質中心の食事のほうがカロリー消費が大きくなります。

タンパク質を摂取するときの目安は、運動習慣があまりない人で、自分の体重×1g(体重が50kgの人なら、50g)となります。また、運動を行っている場合は運動強度に応じてもう少し多めにタンパク質を摂ると良いでしょう。

 【運動強度に合わせた1日のタンパク質摂取目安】

  • 運動習慣がない人 ×0.8~1.0g
  • 軽めの運動をする場合は ×1.2~1.4g
  • 運動強度が高い場合 ×1.5~2.0g

1. 糖質制限ダイエットの注意点

糖質制限ダイエットは、短期間でストンと体重を落とすことができるといわれていますが、実際のところ落ちた体重分のすべてが脂肪ではありません。

糖質には水分を引き込む性質をあるため、糖質を極端に抑えると、体内から水分が抜けた状態になります。

そのため糖質制限ダイエットをする場合は、落とした体重のうち、すべてが脂肪というわけではなく、水分が抜けた影響が大きいことを理解する必要があります。

また、過度な糖質制限は身体に悪影響を及ぼす場合もあるので、適度に糖質を控える程度のダイエットが良いでしょう。

効率よく二の腕痩せしたいなら、美容医療で脂肪細胞を減らす

二の腕痩せにおいて美容医療を取り入れるメリットは、二の腕を局所的に狙った「部分痩せ」が可能という点です。

美容医療では、食事制限や運動をしても落としにくい皮下脂肪の脂肪細胞そのものを減らせるため、リバウンドしにくく、長期的に体型を維持しやすくなります。

例えば、二の腕の脂肪細胞を減らした場合、体重が増加して体型が変化したとしても、二の腕は太くなりにくいというメリットがあります。

また、美容医療は、医療行為であるため、安全性が高く、目に見えた確実な変化を手にいれやすいのも魅力です。

美容医療とエステの違い

美容医療とエステの違いは、医療行為であるかという点にあります。

美容医療の場合は、医師のみが使用できる出力や周波数の機器で施術をするので痩身効果が期待できます。また、もし施術によるトラブルが起きた際も、医師が対処できるといった点も安心です。

エステの場合は、費用は美容医療より低価格であるものの、医療分野で用いられる出力が高い機器は利用できないこと、また万が一トラブルが起きたときに対処はできないことを理解しておきましょう。

エステは、マッサージで硬くなった筋肉や脂肪をほぐしたり、音楽やオイルを組み合わせてリラックスしたりと、リラクゼーション目的でうまく使い分けると良いでしょう。

皮下脂肪を効率よく落とせる瘦身治療は選択肢も豊富

二の腕痩せを成功させるには、蓄積すると落としにくい「皮下脂肪」にアプローチする必要があります。

しかし、一般的なダイエットなどのセルフケアでは、お腹の内臓脂肪にアプローチはできるものの、二の腕などに蓄積した皮下脂肪を落とすのは困難です。

美容医療であれば、直接脂肪細胞にアプローチして脂肪の数そのものを減らすことができるため、効率よく二の腕のお肉を減らしたい場合に向いています。
二の腕の皮下脂肪を減らす代表的な治療には次のようなものがあります。

※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません

1. 脂肪吸引

脂肪吸引は広範囲にわたって一気に脂肪細胞を減らしたい場合に向いています。しかし、他の痩身施術に比べるとダウンタイムが長いのがデメリットです。また、施術によって傷が残ってしまったり、肌がデコボコになってしまったりとトラブルも発生しやすいため、リスクをしっかりと理解した上で施術を受けましょう。
また、医師の技術によっても仕上がりに差が出るため医師選びを慎重にする必要があります。

2. 脂肪溶解注射

脂肪溶解注射は、細かいデザインにも適応しているため顔周りや、肘上、わきの付け根(ブラのはみ肉)などピンポイントで狙って脂肪を減らすことが可能です。
ただし広範囲の施術の場合は薬剤の使用量や施術回数が増えるためコストパフォーマンスが悪くなることもあります。

3. 脂肪冷却治療

脂肪冷却治療の場合は、アプリケーターと呼ばれる専用の機器が豊富なため、広範囲はもちろん、二の腕など細かい部位の脂肪を減らしたいときに向いています。厚労省承認機器もあるので安全性が高く効果に関しても信頼できるものもあるのが魅力です。デメリットとしては、人によっては施術の際に少し痛みがあったり、内出血が出たりといったリスクもあります。

4. 加熱治療

加熱治療は、加熱によって皮膚を引き締める作用があります。特に、年齢によるたるみがある場合に有効です。ただし、加熱治療の場合機械の種類によっては回数がかかるものもあります。

二の腕痩せしたいなら、まずは医師に相談を

二の腕痩せの方法としては、筋トレや食事制限、マッサージなどの選択肢がありますが、どれも即効性はなく、一週間で二の腕をほっそりとさせることは困難です。どの方法で二の腕痩せを目指すにしても、長期的な取り組みが必要になります。

しかし、筋トレや食事制限によって二の腕痩せができたとしても、ダイエットをやめてしまえば次第に元の太さに戻ってしまうのが課題です。

二の腕痩せの効果を長期的に保ちたいのであれば、自分の力だけで解決しようとせず、美容医療の手を借りるのもいいでしょう。美容医療で脂肪細胞そのものを減らせれば、リバウンドしにくい引き締まった二の腕がキープされます。

参考文献
石井直方:カラー図解 筋肉のしくみ・働き事典 西東社,2009.
日本肥満症学会:肥満症の総合的治療ガイド,2013.

監修・取材協力

湘南美容皮フ科内科クリニック 六本木院 院長 御園生 佳奈子 先生

湘南美容皮フ科内科クリニック 六本木院 院長 御園生 佳奈子(みそのう かなこ)先生

湘南美容クリニック唯一の痩身エキスパートドクター。愛媛大学医学部医学科卒業後、愛媛県立中央病院の勤務を経て、湘南美容クリニックに入社。丁寧なカウンセリングに定評があり、自ら治療を体験し、体験談をまじえることで患者さんの悩みや不安、疑問を払拭することを心がけている。2021年にメディカルサイズダウンなどの医療ダイエット・医療痩身に特化した湘南美容皮フ科内科クリニック六本木院の院長に就任。
2017年ミス・ユニバース・ジャパン準グランプリ。
日本美容外科学会(JSAS)、日本美容皮膚科学会、日本抗加齢医学会所属。

湘南美容皮フ科内科クリニック 六本木院

住所:〒106-0032東京都港区六本木6-1-24ラピロス六本木 8F

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