マスク着用が当たり前となり、今まで以上に“目元”へ視線が集まりやすくなっています。そこで気になるのが、目尻のしわ。メイクでは隠しきれない上に、老けた印象を与えてしまうため、悩んでいる人も多いはず。今回は医師監修のもと、目尻にしわが現れる原因をはじめ、適切な対策やケアについて解説します。
監修:西田美穂先生(Beauty Tuning Clinic院長)
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マスク着用が当たり前となり、今まで以上に“目元”へ視線が集まりやすくなっています。そこで気になるのが、目尻のしわ。メイクでは隠しきれない上に、老けた印象を与えてしまうため、悩んでいる人も多いはず。今回は医師監修のもと、目尻にしわが現れる原因をはじめ、適切な対策やケアについて解説します。
監修:西田美穂先生(Beauty Tuning Clinic院長)
目次
別名“笑いじわ”ともいわれる目尻のしわ。よく笑う日々を過ごしている証拠でもあるので悪いことではありませんが、小じわとなって現れるとなると話は別。アンケート調査(※1) 20〜60代の女性の3人に1人が目尻のしわに悩みを抱えていることがわかりました。その理由の多くは、老いを感じてしまうこと。さらに、「疲れてみえる」「笑うときに気になってしまう」「ファンデーションのヨレが気になる」といった声も。なぜ目尻のしわは刻まれてしまうのでしょうか?
目尻をはじめ、眉間やおでこのしわなど、顔の筋肉を動かすことでできるしわを「表情じわ」といいます。この表情じわは筋肉をゆるめることで元に戻りますが、年齢を重ねるとともに肌のハリや弾力性が低下すると、戻らずに肌に刻みこまれてしまうのです。これは真皮層(皮膚)の影響を受けています。
肌の表皮のひとつ奥にある真皮層には肌のハリや弾力、うるおいの根幹となるコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸があります。しかし、加齢による女性ホルモン(エストロゲン)分泌量の変化や長年紫外線を浴びたことによる光老化によってその量が減少。肌を支える線維芽細胞もダメージを受けやすくなります。
女性ホルモンの変化は40代くらいから起こりますが、30代後半くらいから目尻のしわで悩みはじめ、クリニックを受診する方が増えるというのもその影響のひとつといえます。
目尻のしわは表情じわのひとつで、顔の筋肉の中でも特に目の周りにある「眼輪筋」が大きく関係します。
人は1日に約2万回のまばたきをするといわれていますが、加えて現代人はスマホやパソコン作業などで眼輪筋を酷使しがち。筋肉をゆるめる時間も取れず、加齢による筋力や肌弾力の低下などが重なり、しわを押し戻せないまま慢性化することで刻みじわとして定着していきます。
“カラスの足跡”ともいわれる目尻のしわは、表情筋を動かすことによって現れますが、肌の乾燥によってしわの影がより目立ってしまいます。また、乾燥による小じわまで生じてしまう可能性も。
眼輪筋がある目の周りは顔の中でも特に皮膚が薄くデリケート。まばたきなどで筋肉の収縮が多いだけでなく、乾燥しやすいため、しわができやすい部位です。
さらに30〜40代頃から皮脂の分泌量は減少するため、肌が乾きやすくなります。そこに紫外線やエアコンによる刺激などでさらにうるおい不足になるため、注意が必要です。
ネットをはじめさまざまなメディアで目尻のしわの改善方法が取り上げられています。しかし、どれも本当に効果はあるのでしょうか?西田美穂先生に確認したところ、実は一部誤解もあるという驚きの事実が判明しました。
アンケート調査(※1) によると目尻のしわ対策として約8割の人が専用のスキンケアアイテムを取り入れていることがわかりました。
原因で挙げた乾燥や、肌のハリ・弾力の低下を防ぐために、スキンケアは有効です。
まずはスキンケアを行う上で、欠かせない化粧品。
保湿の観点では、セラミドやヒアルロン酸といった成分がおすすめです。
また、厚生労働省がしわ改善の効果効能を認証した「しわ改善有効成分」に注目している人も多いでしょう。この成分は、乾燥による小じわ改善や、肌の弾力を保つために役立ちます。しかし、全てのしわを改善できる訳ではありません。顔の筋肉の動きが反復されることで刻まれていく表情じわの対策では不十分です。
そして注意したいのが、お手入れ方法。目元は特に皮膚が薄いため、しっかり成分が届くように…と美容液やクリームをこするように塗り込むのは、逆効果です。摩擦によって色素沈着やたるみの悪化につながり、ひいてはしわを増やす原因にもなります。
拭き取り用のクレンジングシートを使って目元のメイクを落とすときに成分が皮膚に残ってしまい、持続的に皮膚を刺激して炎症を起こしてしまう可能性も。この影響で乾燥がひどくなり、目尻のしわができやすくなるので、気をつけましょう。
アンケート調査(※1) では約7割以上の方が紫外線対策をあげており、基本の対策として認知されていることがわかりました。
私たちが暮らす地球に届く紫外線(UV)には、「UVA」「UVB」「UVC」とさまざまな種類があり、なかでも9割を占めるUVAは肌の真皮層にまで到達し、肌の弾力を維持するエラスチンを破壊するため、紫外線対策は目尻のしわ対策においても重要です。
日焼け止め が手軽な方法ですが、効果を得るために必要な量を塗れていない人が多くいます。また、夏のような汗をかく季節にはこまめに塗り直すことも大切。さらに、マスク生活が習慣化したことで、サングラスを活用しなくなり、目元の紫外線対策が以前よりも甘くなりがちに。より注意してください。
アンケート調査(※1) によると目尻のしわ対策でスキンケア、紫外線対策についで実践している人が多かったのがマッサージ。しかし、半数以上が効果に不満を抱いていました。
それもそのはず。表情じわは動かせば動かすほどできるものなので、マッサージによる摩擦が目尻のしわの原因となることも。マッサージと異なりますが、顔ヨガで目をぎゅっとつぶるような仕草も、この観点からできるだけ避けたほうがよいでしょう。
目尻のしわには、目元をあたためても直接の効果は期待できません。ただ、目の周りにはさまざまな筋肉があり、眼精疲労になると目の周りが強張ってしまいます。筋肉の強張りが続くと目周りのしわにつながることもあるので、血行の促進・リラックス効果によって眼精疲労が改善するのであれば、間接的に目尻のしわにひと役買う可能性もあります。
スキンケアは間接的に目周りのしわを防ぐことはできるものの、根気強く続ける必要があります。また、笑うことでできる目尻のしわは意識して防ぐことは難しいもの。さらに、刻まれてしまったしわをセルフケアで対処することは難しいといえます。早期に改善したい、ハッキリとした効果が欲しい人は、美容医療 を選択肢に入れてみましょう。
ボツリヌス注射の成分であるボツリヌストキシンには、筋肉の緊張をゆるめ、リラックスさせる作用があるため、目尻のしわ改善に効果が期待できます。ダウンタイム(施術後から回復までの期間)がほとんどなく、アメリカでは年間440万人以上が利用している(5) 、代表的な施術です。
また、目尻のしわの場合、本人がしわだと思っていてもまぶたが被さっているような、たるみのケースもあります。そのような時はたるみの治療が優先され、医師の診察によって手術が適応とされることもあります。
できてしまった目尻のしわを解決するには、まずクリニックに相談するのが効率的。でも美容医療 に興味はあっても、実際に行くとなると、ネットで目にする噂などで尻込みしてしまっている人も多いはず。そんな疑問や不安を解消すべく、西田先生にリアルな事情をお話いただきました。
ボツリヌス注射 の場合、インターネットなどで表情が固まる、効きすぎて顔が動かなくなるなど副作用やリスクの情報を目にすることがよくあります。
確かに、薬剤に対する筋肉の反応に個人差があるので、効き過ぎて、上記のような症状が起こりうる可能性はあります。しかし、適切に治療を行えば、副作用は避けやすくなります。
20~65歳女性10,000人にアンケート調査(※2) したところ、ボツリヌス注射を受けたことがある人は約1%と少ないため、食べず嫌いならぬ打たず嫌いな人も多いのではないかと考えます。
悩むよりまずはクリニックを受診し、信頼できる医師を見つけ、話を聞いて判断してはいかがでしょうか。美容医療に限らず、一般的な治療・施術でも副作用やリスクはともないます。正しい情報からリスクを知り、正しく恐れることが大切です。
目尻のしわの代表的な治療法であるボツリヌス注射の場合、1回の料金相場としては約3,000円〜50,000円ほどです。クリニックによって差があります。
この違いは、断言はできないものの「医師が関わる時間」「使用する薬剤」「トライアル利用」の3つではないかと考えられます。
ボツリヌス注射は医療行為にあたるので、必ず医師が施術を行わなくてはなりません。しかし、カウンセリングや診察は医療行為に該当しないため、別の人が行うことで医師の拘束時間を短くし、料金を抑えている可能性があります。
ただ、正確にしわや肌の状態を診断できる医師がカウンセリング・診察を行っているクリニックを選ぶほうが、リスクを回避しやすいでしょう。
また、厚生労働省が承認した薬剤ではなく、個人輸入した薬剤を使用する場合、低価格にできる可能性があります。しかし、「未承認薬」は効果や安全性が不確かなものもあるため、安全な治療を望むなら、避けたほうが良いでしょう。
ボツリヌス注射は設備投資がいらないため、トライアルで多くの人に利用してもらえるよう、初回の治療を低価格にしているクリニックもあると思います。魅力的ではありますが、先に述べたような、治療までの工程や薬剤をきちんと確認し、検討することをおすすめします。
個人差や治療の程度にもよりますが、ボツリヌス注射で目尻のしわを治療する場合、効果の持続期間は平均3~4ヶ月ほど。良い状態をキープできるよう、3~4ヶ月を目安に治療するのがおすすめです。
ボツリヌス注射が1回30,000円の場合、4ヶ月ごとに治療を行うなら1ヶ月にかかる費用は7,500円。決して安いとはいえませんが、ハッキリとした効果を得られやすいので、コストパフォーマンスは良いといえるのではないでしょうか。
ボツリヌス注射に関しては、力価(必要な薬の量)によって効果の違いが現れるので、あまり気づかれたくないという場合は量を減らすといったことで調整が可能です。目尻のしわの場合、笑ったときに少し現れる程度は自然でいいけれど、深く刻まれないようにしてほしいというニーズがあり、その場合打つポイントや量を工夫して治療をします。
※1「美容に関するアンケート」調査概要
マクロミル調べ
※2「美容医療に関するアンケート」調査概要
マクロミル調べ
参考文献
宮崎医科大学を卒業後、昭和大学形成外科(東京都品川区)にて関連施設研修。
その後、川崎病院(福岡県八女市)にて形成外科部長として従事し、見寺絢子クリニック、福岡大学博多駅クリニック美容・形成外科主任を経て、2018 年11 月にBeauty Tuning Clinicを設立。
日本形成外科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本美容外科学会正会員、日本美容皮膚学会正会員。
Beauty Tuning Clinic
住所:〒810-0001 福岡市中央区天神5-7-7 メディカルシティ天神5F