フェイスラインがすっきりしていると、顔全体がシャープに見えて小顔に見えたり、若々しく見えたりとメリットが豊富です。
しかし、顔周りのマッサージをしても思うように効果が得られなかったり、そもそも何をしたらいいのかと悩んでいる人も多いでしょう。
顔の形や大きさなど、印象を左右する大切な部分であるフェイスラインの正しい引き締め方を、医師に解説していただきました。
監修:黒田 淳子先生(クローバー美容クリニック 院長)
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フェイスラインがすっきりしていると、顔全体がシャープに見えて小顔に見えたり、若々しく見えたりとメリットが豊富です。
しかし、顔周りのマッサージをしても思うように効果が得られなかったり、そもそも何をしたらいいのかと悩んでいる人も多いでしょう。
顔の形や大きさなど、印象を左右する大切な部分であるフェイスラインの正しい引き締め方を、医師に解説していただきました。
監修:黒田 淳子先生(クローバー美容クリニック 院長)
目次
フェイスラインとは、「顔の輪郭」のことで、特に、頬や耳の下あたりからあごにかけてのライン、いわゆる横顔で印象的な部分を指すことが一般的です。
フェイスラインは、絵画でいう額縁にあたります。絵と額縁がマッチしていると、絵の美しさが引き立つように、フェイスラインが美しいと顔の美しさもいっそう引き立ちます。フェイスラインは、パーツの美しさを引き立てる役目も持っているといえるでしょう。
美しいフェイスラインとは、「首と顔の境界がはっきりしている」ことです。
横から見た時、首と顔の境目にうっすらと陰がうつるくらいはっきりしていると、メリハリがあり、美しいフェイスラインだと感じることが多いでしょう。
また、こめかみからあごにかけてのラインが「自然な丸みを帯びた曲線」であることも重要です。この「自然な」というのがポイントで、不自然に膨らんだこめかみや、シャープすぎるあごは、首と顔の境がはっきりしていても違和感を与えてしまいます。
フェイスラインがはっきりしていることには、外見上の印象を高めるだけでなく、内面的な魅力も引き出す効果があると考えられています。欧米では、整ったフェイスラインは「自立している」「内面が強い」という印象を与えるといわれます。
一方、顔と首の境界がぼやけてメリハリのないフェイスラインは、美しいとは感じられにくいかもしれません。
フェイスラインがぼんやりしていると、「太っている」「老けている」「顔が大きい」という印象を与えてしまいがちです。
また、フェイスラインのたるみに伴って口角が下がっていたり、「オトガイ筋」と呼ばれる、あごの先の筋肉が強く収縮したりしていると、「不機嫌」や「不満げ」といったマイナスな印象を与えてしまうこともあります。
フェイスラインを崩してしまうとされる主な原因をまとめました。
フェイスラインが崩れてしまうのは、肥満やたるみ、むくみが原因として考えられますが、実は、姿勢や歯並びなど自分では気づきにくい原因が隠れている可能性があります。 また、フェイスラインが崩れてしまうのは、原因が一つの場合もあれば、複数の要素が絡み合っている場合もあるため、まずは、どのような原因が考えられるのか知っていきましょう。
フェイスラインが崩れてしまう一つの原因として、肥満が考えられます。
肥満とは、体に脂肪が必要以上についてしまった状態のことで、体につく脂肪は、皮膚のすぐ下につく「皮下脂肪」と、腸などの内臓の周囲につく「内臓脂肪」の二つに分けられます。
体重が増加すると、顔にも皮下脂肪がついて、輪郭が膨らんだり、ぼんやりしたりすることで、フェイスラインが崩れる原因になります。
フェイスラインが崩れてしまう原因の一つには、たるみが考えられます。そもそもたるみとは、本来締まっているものがゆるんだ状態になることをいいます。
フェイスラインにたるみが生じる原因には、以下のようなものがあります。
「年をとると体が縮む」といわれることがありますが、それは加齢の影響で骨密度が減り、骨が縮んでしまうことが関係しています。
顔の骨も体の骨と同様に、年を重ねると縮んでいきます。「土台」となる骨が縮んでしまうと、その上にある筋肉や皮下脂肪・皮膚(真皮・表皮)を十分に支えることができなくなります。
支えられなくなった皮下脂肪や皮膚が重力によって垂れ下がると、たるみが生じます。
骨や筋肉に変化がなくても、皮下脂肪が垂れ下がって、たるみが生じることがあります。
特に額・こめかみ・目の下・頬は皮下脂肪の移動(下垂)が起きやすいパーツです。
フェイスラインや口元はこれらの垂れ下がってきた皮下脂肪によるたるみが生じやすい場所といえます。
顔には皮膚のすぐ下に「表情筋」という、顔の表情をあらわす際に使われる筋肉があります。
表情筋が、なんらかのきっかけで減少したり衰えたりすると、皮下脂肪や皮膚を支えられず、たるみが生じてしまいます。
表情筋が衰える主な原因は加齢ですが、マスク生活による表情をつくる機会の減少が、筋肉の衰えに影響するかもしれません。
フェイスラインが崩れる、ぼやけてしまう原因としては、むくみが考えられます。
塩分や水分をとりすぎたり、お酒を飲みすぎたりした翌日には顔がむくんで、フェイスラインがいつもよりぼんやりしてしまった経験のある人も多いでしょう。女性の場合、生理の前にむくみやすくなるという人もいます。
ただし、なかには病気が原因でむくみが生じているケースもあります。特に思い当たる原因がないのに、ずっと顔がむくんでいるという場合は、一度医療機関を受診して、検査してもよいかもしれません。
フェイスラインが崩れてしまう原因の一つには、姿勢などによる骨格の歪みが考えられます。
姿勢は、あごの運動や頭蓋骨を支える筋肉に大きな影響を与えます。姿勢が悪いと、首の位置やあごの位置が悪くなり、噛み合わせや歯列(歯並び)が悪くなるため、フェイスラインの歪みにつながることがあります。
特に、歯並びが悪く、奥歯がうまく生えてこなかったり、虫歯などで奥歯を失ったりして歯牙欠損がある場合は、噛み合わせを支える大きな土台がなくなっているので、たるみが強く出やすい傾向があります。
こうなると、たるみを改善する美容治療を行っても効果が出づらくなります。
また、いつも片側だけで咀嚼する、寝る時に左右のどちらか決まった方を向いて横になる、バッグを片側だけにかけるといった日常生活のクセを長年続けた結果、骨格の歪みが生じ、それが顔の骨にも影響してフェイスラインが崩れてしまうこともあるでしょう。
フェイスラインを引き締める方法は、インターネットをはじめ、さまざまなメディアで取り上げられています。
例えば、フェイスラインのマッサージや顔周りの筋トレを目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
フェイスラインを美しくすっきりさせる対策について本当に効果があるのかどうか、黒田先生に伺いました。
フェイスラインの引き締め対策としての、マッサージの有効性は「△」です。
適度なマッサージは、血行を促進させるとともにむくみの解消にもなります。耳の前、あごの下、首筋、鎖骨などのリンパ節のある部位を軽くほぐすようにマッサージすると、顔がむくんで大きく見えている場合などには有効です。必ずクリームを使って指のすべりを良くし、肌への負担を軽減しながら行いましょう。
ただし、力を入れすぎたり長時間行ったりなど、間違った方法で続けると、肌を支える靭帯がゆるみ、かえってたるみを生じさせてしまうこともあります。
また、むくみ以外の原因で生じたフェイスラインのたるみやもたつきにマッサージを行っても、思うような効果が得られないことがほとんどです。
骨格の歪みによってフェイスラインの歪みが生じている場合、全身のエクササイズやトレーニングなどの有効性は「〇」です。
全身のエクササイズやトレーニングなどを行うことによって筋肉が鍛えられ、正しい姿勢を保つ効果が期待できます。
姿勢が整った結果、フェイスラインの歪みが改善されることもあります。
エクササイズのなかでも、顔の表情筋のエクササイズは、できれば避けた方がよいでしょう。
顔のエクササイズは手軽にできるため、ついやりすぎてしまいがちですが、かえって、しわをつくる原因になることもあります。表情筋は、わざわざエクササイズをしなくても、日常的な会話や食事で動かすだけで、十分鍛えることが可能です。
顔の筋肉を鍛える美容機器・美容グッズもありますが、やはりしわなどの原因になってしまいます。やりすぎないよう注意しましょう。
フェイスラインの引き締め対策として、エステやセルフケアによるスキンケアの有効性は「△」です。
スキンケアと同時にマッサージをすると、むくみが軽減されフェイスラインがすっきりする可能性はありますが、効果が出たのはあくまでマッサージによる影響であり、スキンケアによる影響とは言えません。
化粧水や乳液などのスキンケアアイテムは、肌を保湿し、香りやテクスチャーによる精神的なリラックス効果を与えてくれます。
しかし、スキンケアで対処できるのは肌表面までで、肌よりも奥の骨や皮下脂肪の変化まで対処することはできないと知っておきましょう。
フェイスラインをすっきり見せる方法として、メイクやヘアスタイルの工夫による有効性は「○」です。
スキンケアやエクササイズなどは、フェイスラインの引き締め効果を得るのに、ちょっと時間がかかりますが、メイクやヘアスタイルの場合、トライすればすぐに効果を得られるというメリットがあります。
メイクでフェイスラインを引き締めるには、「シェーディング」と呼ばれる、顔の輪郭に少し暗い色のファンデーションやパウダーを部分的に塗り、立体感を出す方法がおすすめです。
また、「ハイライト」と呼ばれる、光を反射するイテムを頬や鼻筋など、顔のなかで高くなっている場所に置き、奥行きを出すメイク方法と併用するといいでしょう。
ほかにもヘアスタイルの工夫によって、フェイスラインをすっきり見せることができます。興味のある方は、美容師さんへ相談してみるのもいいかもしれません。
フェイスラインを整えるために、美容医療を取り入れる最大のメリットは、受診によって、自分のフェイスラインが崩れてしまった原因がわかることにあります。
例えば、加齢によるたるみによってフェイスラインがゆるんでいるのか、それとも加齢と体重の増加の両方によって引き起こされているのかなど、原因が明確になるため、改善方法が明確になります。
また、セルフケアのなかには即効性が期待できないものも少なくありません。
原因にしっかりアプローチしたい、早期に改善したいという場合は、美容医療で治療することを選択肢に入れてみるのもよいでしょう。
フェイスラインを整えるために有効な治療法をまとめました。
※国内未承認治療を含みますが、それらを推奨するものではありません
ヒアルロン酸注入治療は、加齢などで縮んだ骨や皮下組織を補う治療です。
骨の上に医療用のヒアルロン酸を注入することでボリュームを出し、フェイスラインを整えることができます。
たるみによるフェイスラインの乱れに根本からアプローチすることが可能です。
高密度焦点式超音波治療(HIFU)は、超音波を照射することで皮膚に与える熱エネルギーの刺激で皮膚を引き締めたり、コラーゲンやエラスチンの産生を活性化させてハリを保ったりする効果が期待できる治療法です。
ダウンタイムがほとんどないため、近年人気が高まっています
糸による治療(糸リフト)は、皮下に棘のついた糸を挿入し、コラーゲン生成を促進させることで皮膚のハリを高める治療です。
骨や皮下組織のボリュームダウンに伴い、余ってたるんでしまった皮膚を持ち上げ、下垂した皮下脂肪を移動させることによりフェイスラインをシャープにする効果が期待できます。
日頃の生活習慣がすっきりしたフェイスラインにつながることもあります。
そのために気を付けておきたいポイントや注意点をご紹介しましょう。
フェイスラインをすっきりさせるために、正しい姿勢を意識することは大切です。
良くない姿勢を続けると、首の位置やあごの位置に悪影響を与え、噛み合わせや歯列(歯並び)が悪くなり、フェイスラインの歪みにつながるという研究もあります。
特に、噛み合わせを支える大きな土台である奥歯を失っていると、たるみが強く出やすい傾向があり、たるみ改善の美容治療を行っても効果が出づらくなるといわれています。
近年ではスマホの使用で長時間うつむいた姿勢をとることによる、スマホ首(ストレートネック)や、パソコン作業などの長時間のデスクワークによる姿勢の乱れも問題になっています。
正しい姿勢のポイントは、立った状態で耳、肩、股関節の中央、くるぶしを結ぶ線がほぼ一直線になることです。
視線を前へ向け、かつ肩の力は抜いて左右の高さをそろえて胸を少し張り、下腹部を引き締める意識を持ちます。
そして、頭のてっぺんを上から糸でつられているようなイメージを持ち、背筋を伸ばすようにしましょう。
食事はフェイスラインを引き締めるチャンスでもあります。
よく噛んで食べることで口の周りの筋肉が使われて、表情筋が自然と鍛えられ、フェイスラインの引き締めにつながります。
よく噛んで食事をすることは、肥満の予防にもなります。
噛む回数が多いと食事量が減少することは、科学的にも検証されています。
さらに、ゆっくり時間をかけて食事をすると、通常は食後に分泌される満腹中枢を刺激するホルモンが、食事中から分泌されるようになり、そのことからも食べすぎが抑制されます。
なるべく多くの種類の食品を取り入れたバランスのよい食事を、ゆっくりよく噛んで食べて、健康で美しい体と美しいフェイスラインをつくっていきましょう。
フェイスラインでよくある疑問を黒田先生に教えていただきました!
エラが張っている(咬筋が発達している)ことは、フェイスラインにとってマイナスと捉えられがちですが、エラが張っている=フェイスラインが美しくないわけではありません。
むしろ、エラが全体のフェイスラインを支え、美しいラインが保たれていることもあります。
エラには内面の強さが反映されることも多く、美容医療に携わる医師のなかには、エラのことを個性的な美しさを醸し出せるパーツだと捉えている人も少なくありません。
ただし、食いしばりが強いせいで咬筋が発達し、エラが張り出しているケースは、歯に大きな負担がかかり、ひどい頭痛など健康に悪影響が出ている可能性があります。
そのようなケースでは、健康面を優先してエラの積極的な治療を検討してもよいでしょう。
余分な水分がたまって生じたむくみのせいでフェイスラインがぼやけている場合、リンパのマッサージやエクササイズ、漢方薬の服用などによって短時間でむくみを解消し、フェイスラインを整えることは可能といえます。
しかし、「フェイスラインの引き締め効果」「小顔効果」などをうたった化粧品や美容機器、セルフケアなどには、基本的に即効性はありません。
あったとしても一時的な効果であることがほとんどです。
エステや小顔矯正、美容鍼などでは、医療行為ができないため、フェイスラインが崩れてしまう原因に対して「治療」をすることはできません。
マッサージで硬くなった筋肉や皮下脂肪をほぐしたり、音楽やオイルを組み合わせてリラックスした空間を演出したりと、リラクゼーション目的で使うのがおすすめです。
参考文献
Carini F, Mazzola M, Fici C, Palmeri S, Messina M, Damiani P, Tomasello G. Posture and posturology, anatomical and physiological profiles: overview and current state of art. Acta Biomed. 2017 Apr 28;88(1):11-16.
兵庫医科大学卒業。大阪大学脳神経外科へ入局。大阪大学大学院医学系専攻科を卒業し、博士号を取得。
JCHO大阪病院 (旧大阪厚生年金病院) 、国立病院機構大阪医療センター、兵庫医科大学病院など多くの主要病院にて主に血管障害・頭部外傷・顔面外傷の手術を担当。
2017 年にクローバー美容クリニックへ入職し、翌年2018年より院長に就任する。
不自然な若返りではなく、患者の美しさを引き出し、人生のプラスになるような治療を、技術と愛情を持って提供することを心がけている。
クローバー美容クリニック
住所:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田1-1-3 大阪駅前第3ビル18階10号