年齢を重ねる度に気になりはじめるシミ。巷にはシミが消えるようなことが書かれている化粧品もありますが、シミを消すことはできるのでしょうか。今回は、シミの種類や正しい治療法について、野本真由美クリニック銀座 院長 野本真由美先生にお話をうかがいました。
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年齢を重ねる度に気になりはじめるシミ。巷にはシミが消えるようなことが書かれている化粧品もありますが、シミを消すことはできるのでしょうか。今回は、シミの種類や正しい治療法について、野本真由美クリニック銀座 院長 野本真由美先生にお話をうかがいました。
――シミにはどのような種類があるのでしょうか?
シミは大まかに分けて4種類あり、原因もそれぞれに異なります。シミの治療や対策は、何より種類にあった方法を選ぶことが大切です。まずはシミの種類から学んでいきましょう。
(1)老人性色素斑
この種類は「シミの代表格」とも言えるほど悩む方が多いシミです。原因は日々の紫外線ダメージの蓄積。太陽が当たりやすい頬や手の 甲などにできることが多く、年齢を重ねるごとに濃く形もクッキリしてくるのが特徴です。
(2)炎症後色素沈着
虫刺されやニキビがシミになってしまったと感じたことはないでしょうか?それこそが炎症後色素沈着です。炎症の度合いによって長期間持続することもあります。
(3)肝斑
肝斑は、頬骨のあたりに左右対称にできる淡くて均一なシミです。30〜50代の女性に多く、紫外線や物理的摩擦、女性ホルモンの乱れ、ストレス等で悪化します。季節によって濃くなったり薄くなったりします。
(4)そばかす
鼻から頬、瞼にかけて散在する小さな斑点がそばかすです。紫外線を浴びることで悪化しますが、30代以降は薄くなっていくことが多いです。
――市販の美白化粧品でシミを消すことはできるのでしょうか?
残念ながら市販の美白化粧品でできてしまったシミを消すことはできません。美白化粧品の美白とは「シミの原因となるメラニンの生成を抑えてシミやそばかすを防ぐこと」なので、できるのはシミ予防までなのです。
シミを消すことはできなくてもメラニンが増加しにくくなり、スキンケアによって角質層が整えば、バリア機能が強化されて外的刺激から皮膚を守ることができます。そのため、シミが消えないからといって使うことをやめる必要はありません。
――様々なシミに対して、どのような治療法がありますか?
シミには2大治療があり、シミの種類によって治療法を選んでいく必要があります。
(1) 熱刺激系治療
レーザーやホワイトライトを使った治療で、シミの原因であるメラニンを破壊しシミを排出させる方法です。「老人性色素斑」や「そばかす」はこの方法で治療するのが一般的です。
(2)トレチノイン・ハイドロキノン療法(外用治療)
トレチノインはビタミンAの1種で、肌のターンオーバーを促進する働きを持っています。トレチノインの効果によってターンオーバーが通常の6週間から2~3週間に短縮されるので、メラニンが早く排出され、シミが薄くなっていくという仕組みです。
一方、ハイドロキノンは「肌の漂白剤」と呼ばれ、シミに対して高い美白作用が確認されています。メラニンの生成を抑えたり、メラニンを淡色化して既存のシミを薄くする効果もあります。医師の指導を受けながら、自宅で治療を行えることがメリットです。
――内服薬などによる治療もありますか?
2大治療の他にトラネキサム酸やビタミン剤などによる内服治療もあります。内服治療は肝斑や炎症後色素沈着に対して選択されることが多いです。
市販でトラネキサム酸を主成分に配合した医薬品やビタミン剤も入手可能ですが、医療用医薬品とは成分の配合量が異なったり、それに伴い効果が変わることもあります。
このように治療には複数の方法がありますが、シミの種類によって治療法が完全に分けられるものではなく、複数の治療方法を併用することもあります。外用治療、内服治療、機器治療などを組み合わせて、より高い効果を出す治療をご提案しています。
――シミができる前に予防する方法を教えてください。
多くの方が悩まれるシミの代表格「老人性色素斑」は、紫外線対策が何より重要です。
紫外線対策として大切な順に
(1)避ける
(2)覆う
(3)塗る
があります。
「日陰を歩く」「日傘をさす」「紫外線が強い10~15時台の外出を減らす」などの紫外線を避けるアクションや、帽子や手袋などで肌の露出部を覆う対策を基本に、日焼け止めを活用しましょう。
また、日焼け止めを手のひらでサッと塗っただけでは、必要量の数分の1程度しか塗れていないという論文もあります。しかも、2~3時間すると効果が薄れてくるので、日焼け止めは規定量をきちんと塗り、小まめに重ねて塗り直すことが大切です。塗り方としては、肌にすり込むのではなく、のせるように塗ることを心がけましょう。
――そのほかに、先生おすすめの日焼け対策はありますか?
ビタミンCの摂取です。普段から野菜やフルーツなどでビタミンCが十分とれている方はサプリメントを無理に飲む必要はありませんが、栄養バランスに自信のない方はサプリメントを取り入れるのも一案です。
日焼けをしてしまった時のビタミンCはできるだけ早期に飲むことが大事です。私の場合は、レジャーやドライブなどの日焼けのリスクが高い日の前日・当日・翌日にビタミンCを高用量で飲んでいます。
日焼けをした日は1回2000㎎を朝晩2回飲みます。ビタミンCは「水溶性」なので、一度に多く飲んでも尿から排泄されてしまう性質があるため、分けて飲むことをお勧めします。
日々ビタミンC不足を実感している方は毎日2000㎎程度のビタミンCサプリを飲んで、日焼けをしてしまった時に増量して対応するのがよいと思います。
――最近話題の、リポソーム型ビタミンCについて教えてください。
リポソーム型ビタミンCは、ビタミンCをリン脂質(脂)でできた球状のカプセル(リポソーム)の中に閉じ込めたものです。一般的な水溶性のビタミンCよりも吸収率が高い上、体の中に長くとどまってくれるのが特徴です。水溶性の欠点を克服したビタミンCと言ってもいいかもしれませんね。
――最後に、シミに悩む方々にアドバイスをお願いします。
一度できてしまったシミを自宅でのスキンケアで消すことは難しいので、まずはシミを作らないための予防を徹底することが大切です。
また、シミは種類の自己判断が難しく、治療をするにも専門的なアプローチが必要です。「今あるシミを消したい」という方は、自己判断でケアせず、医療機関を訪ねてみると的確な診断と治療を受けられると思います。
ご自身の納得のいく美肌を目指すためにも、普段のシミ対策を見直しながら、必要に応じて美容クリニックを訪れてみてはいかがでしょうか。
信州大学医学部卒業。新潟大学医学部付属病院皮膚科勤務後、2006年に予防医学の勉強のため、米国留学。2007年、野本真由美スキンケアクリニックを開院し、2018年に野本真由美クリニック銀座を開院。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本抗加齢医学会認定専門医、日本東洋医学会認定漢方専門医、薬学博士。所属学会は日本皮膚科学会、日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会、日本美容皮膚科学会、日本香粧品学会、日本東洋医学会、日本抗加齢医学会など。アメリカのビバリーヒルズにあるオバジクリニック(Obagi Skin Health Institute)のオバジ先生が国内で唯一認める教育ドクター。西洋の美容医学と伝統的な東洋医学のメリットを融合した独自の美容皮膚科治療プログラムを提供している。“皮膚がきれいになると、幸せを感じる”その思いが届くクリニックでありたいと思い、幅広い選択肢の中から、一人一人に適した治療の提案を行う。
野本真由美クリニック銀座
住所:〒104-0061 東京都中央区銀座4丁目6-1 銀座三和ビル4F