肌の大敵、乾燥。いったい何をどう使えば、潤いのあるツヤ肌になれるの?と一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。美肌の基本は「保湿」とも言われますが、皆さん、本当に正しい保湿ケア、できていますか?
See our new privacy terms at https://privacy.abbvie/.
肌の大敵、乾燥。いったい何をどう使えば、潤いのあるツヤ肌になれるの?と一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。美肌の基本は「保湿」とも言われますが、皆さん、本当に正しい保湿ケア、できていますか?
今回は、秋葉原スキンクリニック 院長 堀内祐紀先生に、乾燥の原因や正しい保湿の方法について解説していただきました。
――肌の乾燥は、秋や冬だけに起こるものなのでしょうか?
肌の乾燥は秋冬だけに起こると思われがちですが、春や夏にも起こります。
春夏で問題になるのが「エアコン」や「紫外線」の影響です。オフィスワークの方など、エアコンの効いた環境に1日中いることが多い方の場合には、汗をかく機会が少ないため、肌が乾燥しやすくなります。また、エアコンの風にあたることで特にお顔の肌が乾燥しやすくなります。
また、春先から増える紫外線も、間接的に乾燥を招く原因になります。紫外線を浴びると、肌の細胞内に大量の「活性酸素」という物質を発生します。活性酸素は、肌の細胞を傷つけバリア機能を低下させるため、乾燥につながります。
――秋冬の乾燥は、気温や湿度の低下が原因でしょうか?
そうですね、秋冬に乾燥を感じやすい理由は二つあります。
一つ目は、気温が低くなり外気の湿度が下がることで、皮膚から水分が飛びやすくなるためです。ただし、湿度は地域による違いもあります。例えば、雪が多い日本海側よりも、雪がない太平洋側の方が湿度は低いです。
二つ目は、体温が下がることで「皮脂分泌」の低下が起こるためです。汗の量が減り、皮脂の量も減ることで、肌がカバーされなくなるため、乾燥しやすくなります。
加えて、熱いお風呂で皮脂が流れてしまうことも、乾燥の原因となります。
――加齢に伴って肌は乾燥しやすくなりますか?
加齢に伴って、皮脂を分泌する「皮脂腺」の活動が低下するので、肌は乾燥しやすくなります。皮脂腺は思春期あたりから増加し、その後、年齢と共に徐々に減少していくのが一般的です。30代、40代あたりから、皮脂線の活動は低下していくと考えたほうがよいでしょう。
また、肌は本来、ヒアルロン酸やコラーゲンなどの肌の潤いやハリに関わる成分を自ら生み出す力を持っていますが、この生成力が加齢と共に強くなっていくことはありません。
――肌が乾燥することで、どのような症状が発生しますか?
肌の乾燥、つまり角質層の水分量が減少して肌のバリア機能が低下すると、「しわ」や「毛穴」などの肌トラブルが起きやすくなります。
皮膚表面の水分量が少ないと、皮膚が折れ込んで戻らなくなる「小じわ」が発生しやすくなります。また、肌が乾燥していると角質が硬くなり、毛穴に角栓が溜まってしまうことも。乾燥を補うために油分が過剰に出て、乾燥しているのにベタベタするなどのトラブルが起きることもあります。
その他には、40代以降、いわゆる「たるみ毛穴」が起きているところに肌の乾燥が加わると、毛穴同士がつながって線状のしわのようになってしまうことがあります。
乾燥はさまざまな肌トラブルに派生しますので、保湿のためのスキンケアを正しく行っていくことがとても大切です。
――肌の乾燥を防ぐための、クレンジングと洗顔のポイントを教えて下さい。
クレンジングも洗顔も、何より手早く行うことが大切です。
ほとんどのクレンジング・洗顔料には「界面活性剤」が使用されています。界面活性剤は、本来は混ざり合わない水と油を混ざり合わせる作用を持っているため、水だけでは落ちないメイクや油汚れなどを落とす力があります。
一方で、界面活性剤の量が多ければ多いほど、肌に必要な皮脂まで奪い、肌を乾燥させるデメリットもあるのです。だからこそクレンジングや洗顔は時間をかけず手早く行い、丁寧に洗い流すことが大切です。
また、肌をこするように洗うのは肌への摩擦になるため、優しく・手早くを意識すると良いでしょう。
――クレンジング後には必ず洗顔もした方が良いのでしょうか?
ダブル洗顔は乾燥を招くと思い込んでいる方もいますが、実はこれはケースバイケースです。
例えば、乾燥肌でメイクも薄い人が、毎日ダブル洗顔を続ければ、乾燥がひどくなってしまいます。しかし、脂性肌でバッチリメイクの人がきちんと洗顔をしないと、ニキビや毛穴詰まり、赤ら顔、くすみの原因になります。
意外な落とし穴なのが「日焼け止め」。ウォータープルーフでSPFの高い日焼け止めを塗っているのに、“やさしい洗顔”しかしていないと、日焼け止めが肌に残ったままの状態になり、トラブルを引き起こしてしまいます。
ダブル洗顔は肌に良い・悪いと決めつけず、自分の肌質やその日のメイクの濃さ、季節などによって、自分にあった洗顔の方法を選んでいく必要があります。
――日頃の保湿スキンケアで気を付けるべきポイントを教えて下さい。
スキンケアというのは本当に難しくて、すべての人にとってこの方法がよいという魔法のような答えは残念ながらありません。個々の肌によって、適切なスキンケアは異なります。また、季節や年齢によっても、必要なスキンケアは変わります。
ひとつ知っておいていただきたいのは、普段使っているスキンケア化粧品が沁みる時は、肌がSOSを出しているということ。そんな時は、無理して刺激のある化粧品を使い続けず、肌を休ませてあげてください。
――なんでも「塗ればよい」ということではないのですね。
そうですね、肌の状態が整っていれば、スキンケアは最小限で済みます。
「化粧水だけでスキンケアを終わらせて油分を与えないと、水分が蒸発するからNG」といった話も聞かれますが、私はそんなことはないと考えています。多くの化粧水には少なからず油分が含まれていますし、何より肌も自ら皮脂を分泌して潤う力を持っています。
化粧水だけでスキンケアを終わらせても肌が潤っている人もいますし、反対に化粧水や美容液、乳液、クリームといった化粧品をフルコースでつけても乾燥を感じる人もいます。肌に何が必要かは、その人の肌状態だけが知っているのです。たくさん塗らないと潤わないという人は、肌自身が持つ潤いを保つ力が弱くなってしまっている可能性もあります。
自分の肌が落ち着く状態を探り、肌にあったスキンケアを行うことが何よりも大切です。
――SNSでは様々な保湿ケアに関する情報が紹介されています。美容皮膚科医としての見解を教えてください。
<洗顔編>
Q.水洗顔や冷水洗顔は、保湿ケアという観点で肌に良い!?
洗顔に使う水は30℃くらいのぬるま湯か水が良いと考えています。熱いお湯は肌に必要な皮脂まで洗い流してしまうので、水や冷水であれば皮脂は落ちにくいことはたしかです。また冬に水や冷水での洗顔は酷ですし、肌が冷えて血行不良を起こしてしまうことも良くありません。
Q.ベビーオイルでの洗顔は、保湿ケアという観点で肌に良い!?
個人の肌質によるかと思いますが、乾燥肌の方は向いているかもしれませんね。ベビーオイル自体に肌に悪い成分や、界面活性剤となるものも入っていないので、ベビーオイルでの洗顔で肌が安定するなら良いと思います。ただ、脂性肌の方やしっかりメイク派の人がベビーオイルだけでクレンジングも洗顔もすませるのは、汚れがきちんと落ちているのか心配になります。
実践する場合は、ベビーオイルでの洗顔方法をよく確認し、自分の肌質やメイクと合っているかきちんと判断してから行いましょう。
<保湿ケア編>
Q.化粧水は叩いて肌に入れるのが良い!?
肌を叩くこと自体が肌への刺激になり、それが炎症につながる可能性もあるので叩くことは良くない行為です。コットンにつけるのも手でつけるのもお好みですが、コットンの場合もパンパンと叩いたり、こすったりしないようにしましょう。手でつける時もしつこく何度も手をすべらせたりせず、両手で包み込むようになじませるのがポイントです。
Q.毎日のシートパックは肌に良い!?
毎日パックを行って肌の調子が良い人は使っても良いと思います。しかし、パック自体に油分が入っている場合が多く、油分が過剰になってしまう場合があります。また、パッケージに使用頻度が書かれている場合も多いので、まずは使用上の注意をしっかり確認しましょう。
Q.大量のワセリンを就寝前に塗って朝に洗い流す“スラギング”の効果は!?
ワセリンも肌に悪い成分は入っておらず、ラップのように肌の水分の蒸発を防いでくれるという利点があるので、NGとは思いません。ただ、これも自分の肌質やその時の肌状態によっては逆効果になる可能性もあるので、自分自身で判断していく必要があります。
Q.スチーマーを保湿ケアの一環として取り入れることの効果は!?
スチーマーを使うと蒸気で肌が潤ったように感じるかと思いますが、スチーマーを使った後にきちんとお手入れをしないと逆効果になることも。スチーマーは肌を柔らかくし毛穴を開かせる効果がありますが、逆にいうと角質層をふやけさせているということにもなります。ふやけた角質層は外からの刺激も受けやすいので、非常に危ういのです。スチーマー後はきちんと水分と油分を肌に補い、角質層を守ってあげることが大切です。
――最後に肌を綺麗にしたいと願う方々へのアドバイスをお願いします。
世の中には実にさまざまな美容情報があり、「このアイテムが良い」とか「この美容法がいい」といった情報もたくさん流れていますが、全てに共通して言えるのは、正解は「自分の肌にしかない」ということです。どれだけ良いとされているアイテムや美容法でも、自分の肌に合わなければ意味がありません。
スキンケアは肌との対話です。自分の肌を知り、肌との対話の中で何が必要かを探っていくことで、自分らしい美しい肌を手に入れることができます。
どうしても悩みが解決しないという場合には、美容皮膚科医という力強い味方もいます。ぜひ今日から「自分の肌には何がいいか」という視点でスキンケアに取り組んでみてください!
東京女子医科大学医学部卒業。東京女子医科大学皮膚科学教室入局後、都内皮膚科・美容クリニック勤務を経て、2007年秋葉原スキンクリニック開設。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本脱毛医学会理事。日本皮膚科学会・日本美容皮膚科学会・日本レーザー医学会・日本抗加齢医学会・日本香粧品学会所属。Allergan Medical Institute Japan Trainer(アラガン認定トレーナー)、Aケア協会アドバイザー。保険治療だけでなく美容治療を各種取り揃え、さらに肌を良くしたい!という気持ちを叶えるために、エビデンスのしっかりとした治療を、自信を持って届ける。
秋葉原スキンクリニック
住所:〒101-0021 東京都千代田区外神田4丁目6−7 カンダエイトビル 2階/3階